近年、家電を分解して部品ごとに売却する副業が注目を集めています。
とくに「黒モーター」と呼ばれるパーツは、銅やアルミなどの有価金属を含んでいることから、スクラップ市場で一定の価値を持っています。
ただし、「儲かる」とされる情報の裏には、作業の手間や法的なルール、業者ごとの査定差など、知っておきたい現実もあります。
単純に分解すれば利益になるとは限らず、効率や安全性、リスクのバランスを見極めることが重要です。
この記事では、黒モーターとは何か、どれくらいの価格で売れるのか、そして実際に儲かるのかどうかをわかりやすく解説します。
初めての方でも理解しやすいように構成していますので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
【記事のポイント】
- 黒モーターの特徴や家電からの取り出し方
- 解体の有無による買取価格の違い
- 儲けるために必要な知識や注意点
家電の黒モーターは本当に儲かる?
黒モーターとはどんな部品?
黒モーターとは、主にエアコンや冷蔵庫に使われているコンプレッサー部分のことを指します。
外装が黒っぽい塗装や樹脂で覆われているため、スクラップ業界では「黒モーター」と呼ばれています。
この部品は一見するとただの金属の塊に見えますが、中には銅やアルミなどの有価金属が含まれています。
これらの素材がリサイクルの対象になるため、一定の重量があれば業者が買取を行ってくれます。
黒モーターの特徴は以下の通りです。
- 外装が黒く塗装されているコンプレッサー型
- 家電製品から取り出されることが多い
- 中に銅コイルや鉄、アルミなどが含まれている
ただし、全ての黒モーターが高値で売れるわけではありません。
冷蔵庫に使われているものなどは減額対象になることが多く、内部が空であれば単なる鉄くずとして扱われる場合もあります。
このように、見た目が同じでも中身の状態や用途によって価値は変わるため、注意が必要です。
初めて黒モーターを扱う場合は、どの部品が対象なのか、どのように見分けるのかをしっかり確認してから行動することが重要です。
解体と未解体で買取価格はどう変わる?
モーター類をそのまま持ち込むのと、解体してから持ち込むのとでは、買取価格に大きな差が出ることがあります。
例えば、未解体の家電モーターや黒モーターは、「モーター」として一括での査定となり、相場では30~40円/kg前後での取引が多いです。
一方で、解体を行い、銅や真鍮などの素材ごとに分けて持ち込むと、それぞれの単価で計算されるため、結果的に高い価格で売却できる可能性があります。
具体的な差としては、以下のようになります。
- 未解体:30~40円/kg(黒モーターとして扱い)
- 解体後の銅:100円/kg以上(内容や相場による)
- 真鍮など他の素材:50~600円/kgと幅広い
ただし、すべてのケースで解体が有利というわけではありません。
解体作業には時間や労力がかかり、工具や知識も必要です。
また、うまく分別できなければ、素材の価値を正確に評価してもらえない場合もあります。
このため、効率よく利益を上げるには、買取業者の基準や相場を把握した上で、どこまで分解すべきかを見極めることが求められます。
利益と作業時間のバランスを考える
黒モーターの解体によって得られる利益は、確かに単価ベースでは上がることが多いです。
しかし、そこにかかる作業時間や体力的な負担も考慮に入れる必要があります。
例えば、黒モーターを解体して銅や真鍮などを取り出した結果、買取価格が800円上がったとします。
ただし、その作業に3時間かかってしまえば、時給換算でおよそ270円です。
これでは「儲かった」とは言いづらいのではないでしょうか。
考えるべきポイントは次の通りです。
- 解体にかかる時間と得られる追加収益のバランス
- 解体作業によるケガや道具の消耗リスク
- 知識不足による素材の誤分類や損失
このように考えると、副業や趣味の一環として取り組むならまだしも、安定した収益を見込んだ事業化には不向きな面もあります。
実際の利益を高めるためには、以下のような工夫が必要です。
- 作業時間を短縮する技術や道具の導入
- 高く売れる素材を見極めて解体対象を選定
- 業者との信頼関係を築き、正しい価格で売却
単純に「分解すれば儲かる」と飛びつく前に、時間対効果やリスクをしっかり見積もることが重要です。
黒モーターの市場価値と価格の現実
黒モーターの現在の買取相場
黒モーターの買取価格は、時期や地域、持ち込み先の業者によって異なります。
ただし、2025年4月現在、一般的な相場としては30円〜40円/kgほどで取引されているケースが多く見られます。
業者によっては、「モーター」として一括で買取する場合と、「黒モーター」として別扱いする場合があり、そこでも価格に差が出ることがあります。
例えば、工業用や家電用の通常モーターであれば40円/kg前後、黒モーターに分類されるコンプレッサー型であれば30円/kg程度が目安です。
以下は主な価格帯の目安です。
- モーター(家電・工業用):約40円/kg
- 黒モーター(コンプレッサー型):約30円/kg
- トランス付きモーター:100円/kgを超えるケースも
ただし、冷蔵庫の黒モーターは減額対象となる場合があり、内部が空のものは鉄くずとして扱われてしまいます。
このため、見た目や重量だけで判断するのではなく、事前に業者に詳細を確認しておくと安心です。
スクラップ価格は金属市場の動向に左右されるため、常に最新の情報をチェックする習慣も大切です。
家電から取り出せる黒モーターの例
黒モーターは、私たちが日常的に使っている家電製品にも多く含まれています。
とくにコンプレッサーを使用するタイプの家電には、高確率で黒モーターが搭載されています。
代表的な家電例は以下のとおりです。
- エアコンの室外機(冷却用コンプレッサー)
- 冷蔵庫(冷媒圧縮用のモーター)
- 除湿機や冷風機(内部に小型コンプレッサーあり)
これらの家電から取り外された黒モーターは、一見すると鉄の塊のように見えますが、中には銅やアルミなどの高価な金属が含まれています。
このため、専門業者ではモーター単体での買取が行われており、状態によってはそこそこの価格になることもあります。
ただし、取り外し作業には工具が必要で、解体にはある程度の技術が求められます。
また、エアコンや冷蔵庫などの家電は家電リサイクル法の対象となるため、適切な処理が必要です。
違法な廃棄や解体は罰則の対象となる可能性もあるため、作業前に法的な確認を行うことをおすすめします。
海外需要と国内供給のギャップ
黒モーターは日本国内だけでなく、海外市場でも需要があります。
特に銅の含有量が多い黒モーターは、資源としての価値が高く、再利用目的で輸出されるケースもあります。
一方で、日本国内では廃家電が比較的安価で入手できることから、海外バイヤーが「日本からなら大量に安く買える」と考えることがあります。
しかし実際には、次のようなギャップが存在します。
- 日本では既にスクラップ業者が多く、価格競争が激しい
- 法律や輸出規制により、自由に大量出荷することは難しい
- 解体・分別には時間と技術が必要なため、手間がかかる
さらに、現地での加工コストや輸送費を差し引くと、期待していたほどの利益が出ないというケースも珍しくありません。
このようなギャップに気づかず、「日本から黒モーターを仕入れて売れば儲かる」という安易な発想で参入する海外業者もいます。
実際に現場を見て、価格や流通の現実を知って初めて、想像との違いに気づくことになるのです。
これらを踏まえ、日本国内で黒モーターを扱う際は、相場や需要だけでなく、輸出や流通の仕組みにも目を向けることが重要です。
副業で黒モーターを扱う際の注意点
法的な手続きやルールの確認
黒モーターを含む家電スクラップを扱う際には、必ず関連する法的なルールを把握しておく必要があります。
これを怠ると、知らずに法律違反をしてしまうリスクがあります。
特に注意すべき法律は以下の通りです。
- 家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)
- 廃棄物処理法
- 古物営業法
家電リサイクル法では、冷蔵庫やエアコンなどの処分に一定のルールが設けられています。
たとえば、家庭用エアコンを勝手に解体して売却することは、正式な資格や登録がない限り違法となる可能性があります。
また、解体された黒モーターを販売する場合、「古物商許可」が必要なケースもあります。
この許可がない状態で転売を繰り返すと、罰則の対象になりかねません。
さらに、法人として取り扱う場合や輸出を行う場合は、税関手続きや輸出許可の確認も必要になります。
このように、スクラップビジネスは「自由に売って終わり」ではありません。
事前に必要な手続きを確認し、正しく行動することでトラブルを未然に防ぐことができます。
業者選びで損をしないポイント
黒モーターを売却する際に、どの業者に持ち込むかは非常に重要な判断材料になります。
同じ黒モーターでも、業者によって買取価格が異なり、差額が数百円から数千円に及ぶことも珍しくありません。
業者選びで失敗しないためには、以下の点を確認すると良いでしょう。
- 公開されている買取価格が明確か
- 持ち込み・回収方法や手数料の有無
- 解体品と未解体品の取り扱い基準
- 地元での評判や口コミ情報
特に、「高く買います」とだけ宣伝している業者には注意が必要です。
実際に持ち込んでみると「状態が悪い」と理由をつけて大幅に減額されるケースもあります。
一方、信頼できる業者は価格の根拠や減額の基準を明確に説明してくれます。
可能であれば複数の業者に見積もりを取り、比較してから売却することをおすすめします。
黒モーターは重量単価での取引になるため、小さな差でも積み重なれば大きな損益に直結します。
価格だけでなく、対応の丁寧さや信頼性も重視することで、後悔のない取引ができるでしょう。
儲かると思い込む前に知るべき現実
「黒モーターは儲かる」という情報は、インターネットや動画サイトなどでよく見かけます。
確かに、無料で回収した家電から高価な金属を取り出し、それを売れば利益は出るように見えます。
しかし、現実には思っているほど簡単ではありません。
以下のような要素が影響します。
- 解体にかかる時間と労力
- 金属価格の変動リスク
- 工具や作業環境の整備コスト
- 業者の査定による価格のばらつき
例えば、数時間かけて黒モーターを解体し、得られた銅が1kgだったとしても、相場が100円/kgであれば100円の収益です。
それに対して、工具代や交通費、時間的コストを考えると、赤字になる可能性もあります。
また、「儲かっているように見える人」の多くは、本業が別にあり、副業として効率よく作業しているケースが少なくありません。
前述の通り、法律面のリスクも無視できず、知識がないまま始めるとトラブルになる恐れもあります。
このように、「儲かる」という言葉だけに踊らされず、実際に得られる収益や負担、リスクを具体的に計算してから判断することが大切です。
まとめ
黒モーターは、主にエアコンや冷蔵庫に搭載されているコンプレッサー部分で、内部には銅やアルミなどの有価金属が含まれているため、リサイクル市場で一定の需要があります。
未解体の状態では30~40円/kg程度での取引が主流ですが、解体して素材ごとに分ければ、より高い価格で売れる可能性もあります。
ただし、解体作業には時間と労力がかかる上、必ずしも利益が作業に見合うとは限りません。
また、スクラップとして扱うには以下のような点にも注意が必要です。
- 法律(家電リサイクル法、古物営業法など)の順守
- 安全な作業環境と工具の準備
- 正確な素材の見極めと分別スキル
さらに、「黒モーターは儲かる」というイメージだけで安易に始めると、思わぬコストやリスクに直面することもあります。
副業や趣味として取り組むには面白い分野ですが、本格的に利益を出すには知識、経験、信頼できる業者との取引が欠かせません。
まずは小規模に試して、仕組みを理解しながら進めていくことが現実的です。